『あの奈良監獄がホテルに! その1』
接客をしておりますと、「女将は他の宿泊施設で気になるところある?」というご質問をよく頂きます。

多分、結唯で色々取り入れているので他の施設に勉強に行ってる…、などと思われがちなのですが、どちらかと言うと宿泊施設以外からヒントを頂くことが多く。
スタッフからは、「女将の趣味の延長の収集=結唯のコンテンツ」とも言われてはおりますが…。
本日は、冒頭にもございます、夕食接客中の何気ない会話からスタートです。
お客様「女将は普段どんなところに泊まりに行くの?」
女将「基本的には呑み中心なので、泊まりはおまけなんですよね…」
お客様「呑んべいだもんな!(笑) でも我々も最近はホテルだなぁ」
女将「そうなんです。地元の居酒屋さんや割烹に行くのが好きなので、夕食付きの旅館に泊まれないんですよ…。
それでホテルになってしまう。温泉は大好きなんですけどね…」
お客様「結唯は割烹付きの温泉旅館みたいなものだから、完全お籠りでまたいいんだけどね(笑)」
女将「そう、仰って頂くお客様多いです! 結唯は結構自由なので(笑) 」
お客様「そう言えば、こないだ知り合いが監獄に泊まってきたって!」
女将「監獄!! あっ、もしかして奈良監獄ですか?!」
お客様「えっ、知ってるの?」
女将「私も建築雑誌で見てて気になってたんです。監獄とは思えないデザインで!」
お客様「ちょっと見てきて感想聞かせてよ。女将がいいって言うなら行かなきゃ」
女将「百聞は一見にしかず、ですものね。来週京都に仕事で行くので、予定があえば視察してきます!!」

からの、行ってまいりました「星のや奈良監獄さん」!
結唯の女将BLOG始まって以来、初の他の宿泊施設さんのご紹介です。
(※案件募集してますが、今回は案件ではございません!)

宿泊施設でもあるのですが、奈良監獄ミュージアムを併設されていて、バックグランドやストーリーがとても深いです。このブランディングは勉強になる! と早くも訪問前から興奮気味です。
お伺いしてきた限り、1回では中々お伝えしずらいので、8月は監獄シリーズと題して何回かにわけて皆さんにお伝えします。

行ってみて驚いたのは、監獄が「か・な・り」そのまま使われていること。

以前は独房であったところ、そのままコネクション+リノベーションして、素敵なお部屋になっております。
ただ、国の重要文化財なので廊下や扉などは本当にそのまま。
重要文化財のリノベーションは本当に大変…、とはよく関係者の方々にお聞きしますが、実際に行ってみると結唯の改装レベルとはまた違った、複雑、且つ繊細な調整が必要なのが見受けられます。
これは正直、ほんとーに大変ですよ!!

監視用の台からは各通路が奥まで見渡せる「ハヴィランド・システム」を採用。
明治時代に建てられた五大監獄で、唯一全貌が現存する貴重な建造物です。
当時は長い鎖国が明けて、文明開化と同時に近代国家としての威信を懸けたプロジェクトとして、大変多くの方が携わり建造されております。
五大監獄とは、千葉、金沢、奈良、長崎、鹿児島を差すのですが、あぁ~鎖国から徐々に開国する上での港の近くに作って諸外国にアピールしたんだな、と気づきます。
でも奈良だけは内陸?! と思われた方もいらっしゃるでしょう。
奈良は開国後に東大寺などもあり観光ルートになったこと、元々奈良奉行所があったことなどもあり、五大監獄の中でも唯一の内陸の施設となりました。
場所柄、奈良坂・般若寺周辺は鎌倉時代に重病者救済・福祉施設(病院)である「北山十八間戸(きたやまじゅうはちけんこ)」が建てられた場所でもあり、近代監獄の理念と合致したようです。

つい1年前まで大河ドラマで歴史物を見続けていた女将は、江戸時代の牢獄がすっかりイメージされておりました。
そこから諸外国を見習って、近代国家になるには、まず牢獄から監獄へとシフトが必要だったわけです。

天窓から神聖な光を取り入れ、陰影を創り出すなど、もはや監獄と言うよりフランスで訪れた修道院の設計思想と同じです。

残すところは残し、変えるところは変える、この微妙なバランスがとても素敵です。
設計士さん、お見事です!

ヨーロッパではよく目にする、古代ローマに起源をもつ半円アーチ窓。
建築上で屋根や天井の重みを分散する意味もあるようですが、ベルサイユ宮殿などでも見る事ができる宮殿と言えばこのデザイン窓です。
今はサロンとして開放されており、本などを持参して珈琲飲みながらゆっくりしてると、「ここはどこ?」と思ってしまうぐらい素敵な空間です。

次回は、この素晴らしい建築をどのようにリノベーションされたのか、お部屋のお話に続きます!
仮釈放の予定はない女将。
2026.08.08|CATEGORY:女将ブログ


