『結唯本館・いよいよ開業準備スタート!』
~オリジナルテーブル導入編・その3~
森工芸さん「本日、京都に天板を出荷しました。藍漆塗り始めます!」
女将「えっ、本当ですか?! 京都に塗りを見に行ってもいいですか?」
森工芸さん「勿論です! 折角の作品なので是非見てください。連絡しておきますね。」
はい、行っていました、うるわしのみやこ京都。
待ちきれずに本当に弾丸行程で見に行っちゃいました(笑)。

京都の小道にひっそりと佇む「堤淺吉漆店」さん。
明治42年創業の老舗の漆屋さんです。

(堤淺吉漆店さんHP出典)
正直なところ、京都の老舗の漆屋さんとお聞きして、山の奥のひっそりとしたところで、実直な職人さんが黙々と作業を…などと失礼ながら勝手に想像をしておりましたが、なんとモダンな店舗兼工房!!


(堤淺吉漆店さんHP出典)
「Und.」(アンド)と名付けられたこちらの店舗、漆精製工房と隣接する事務所・倉庫をリノベーションされたそうです。まずこちらの美意識の高さに脱帽。。
今では海外の方も漆に興味をお持ちで、こちらのフラッグシップショップを調べて
来店されるそうです。お伺いした日も何組かの海外の方が、真剣に商品のことを
お尋ねしてました。以前お伺いした酒蔵の鍋島さんでもシンガポールの方々が感動してお話を聞いてましたし、海外の方々はよく調べられているなぁと感心してしまいます。

最初に店内をご案内頂いたのが、古徳信一さん。
ことくさん…、既に奥ゆかしさをお名前からも感じますが、お話もとっても穏やかで丁寧。少しお話しただけで、京都に来た!と一気に引き込まれます。

漆は、色、上塗りの回数、塗る材質、それらによって全く表情が変わってきます。

金継ぎの技術も、もはや初めから考えられたデザインに見えてきます。

堤淺吉漆店さんでは、色々な組み合わせにチャレンジされており、今まで見た事が無い作品が店内では沢山ご覧になれます。

そして、この度結唯に納品されるテーブルの藍漆をご担当いただきました、漆工芸家の佐藤志乃さん。
佐藤さん
「女将さんが本当にこられたんですね?!」
女将
「はい、ご連絡頂いて実際の藍漆が是非見たくて! 感激です。」
佐藤さん
「嬉しいです! 私達はどのようにこの作品がお客様の元でご使用いただけるのかはわからないので、塗りながらいつも想像だけはしてるんですが、わざわざ来て頂きお話できると、本当にやってて良かったと思います。」

佐藤さんは大学で学んだあとに、漆の世界に入られたそうで、貴重な日本文化の若き伝道師です。

何度も上塗りして、この光沢と深みを出していきます。

天然の木目とのバランスが何とも美しい。
何層もの上塗り経て、いよいよ深い藍色のテーブルができあがりました。

漆は今も昔も貴重な材料で、1滴も無駄にするな!とよく師匠に言われていたようです。
佐藤さん
「漆の木もご覧になりますか?」
女将
「こちらにあるんですか? 是非!」
佐藤さん
「こちらなんですが、この1本の漆の木から、どのぐらいの漆がとれると思いますか?」

女将
「その質問ですと、多分思っているよりかなり少ないんですよね。よく目にする2Lのペットボトル2~3本でしょうか?」
佐藤さん
「実は、牛乳瓶200mlの1本しかとれないんです。」
女将
「えっ!? 牛乳瓶1本だけ?? それは貴重ですし、そもそも漆の木を整備するだけでも大変なことですね。」
佐藤さん
「そうなんです。日本でも定期的に植樹をして材料を確保していくんですが、取れる量が少ないので、海外にもご協力いただきまして。」

このように木に切れ目を入れて、そこから溢れ出てくる漆を集める、何とも気が遠くなる根気のいる作業です。

その後は、二階にある工房にもご案内いただき、漆の作品を見させて頂きます。
佐藤さん
「こちらは酒器などにも使える器です。どうぞお持ちください。」

女将
「素敵な深みのある光沢ですね。えっ、軽い!!」
佐藤さん
「はい、皆さん陶器だと勘違いされるんですが、持って驚かれます。」
女将
「後ろにある作品を見ると、本当に何にでも塗れるんですね。漆のイメージが変わりました。」
佐藤さん
「はい、色も沢山の種類をご用意してますので、ご覧になってみてください。」

何とも美味しそうな和菓子のようなサンプル。

スピーカーに塗ると、これまた急にモダンな家具のように。

器をペンダントライトに、これはまた一つアイデアを頂きました。
佐藤さんのお話をお聞きしてる後ろで、イケメンのサーファーがパソコンで作業をされているなぁ~とは思っていたんですが、なんとなんと堤淺吉漆店さんの四代目代表の堤卓也さんでした。(堤さんの想いと活動はこちらhttps://www.tsutsumi-urushi.com/about/)
女将
「すっかりご挨拶が遅くなりまして、、」
堤代表
「こちらこそ、わざわざ京都までありがとうございます。お話が盛り上がっていたのを楽しく後ろから拝見しておりました。テーブルがお客様の目に触れるのが楽しみですね!」
女将
「はい、今回大変勉強になりましたので、日本古来の漆のことをお客様にも積極的にお伝えしてまいります。」
堤代表
「サーフボードをご覧になりますか?」
女将
「是非!」

想像を超える奥深い色合いのサーフボード。ビーチで見たら、必ず声をかけたくなってしまいますね。
堤さんは様々な漆の継承・啓蒙活動をされており、ご自身もサーフボードに漆を塗り、全国のビーチへ。つい先日も湘南へお越し頂いていたようです。
先代から継承するだけでも大変な事なのに、日本古来の文化を新たな形で発信をしていく、並大抵な事では無く、日々大変なご苦労がおありだとお察しします。
結唯も旅館ならでは日本文化を残しつつ、少しずつ進化していくことが大切だと
改めて感じます。
この度のご縁には、本当に感謝の想いで一杯です。
そして、いよいよ来年2月初旬には結唯にテーブルが到着します。結唯のゲストの皆様、楽しみにされていてください。
2025.10.20|CATEGORY:女将ブログ







